1行モンスター・データ・ブロック
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マークダウン形式でアドベンチャーやセッション準備資料を書くときに、モンスター・データの書式としてシンプルなフォーマットをよく使うようになりました。慣れると読みやすく、使いやすいので重宝しています。
## 腐敗の女王、マウリッド(グリーン・ハグ)
中型・フェイ
- CR 3, AC 14, DC 13, HP 71 (49-81), APB +5 (PB +2), DPR 23
- S +3, D +2, C +2, I +2, W +2, Ch +3
- 暗視60'、受動知覚14
- 複数回攻撃: 1回の爪攻撃と1回の呪い攻撃を行なう。
- 爪: 攻撃 +4、12 (2d8 + 3) 斬撃ダメージ。
- 呪い(凝視): 60フィート以内にいるクリーチャー1体を凝視して呪う;目標は DC 13 の【判】セーヴに失敗すると次のいずれかの効果を受ける;(1) 目標はこのハグによって魅了状態となる。(2) 目標はこのハグに対して恐怖状態となる。
このシンプルなデータ・ブロックは、例によって Mike Shea さんが公開している“The Lazy GM’s 5e Monster Builder Resource Document”という資料と、Shadowdark RPG のルールブックで使われている能力値表記を組み合わせたものです。
なお“Lazy GM’s”の資料は Forge of Foes という本の内容を抜粋したものになっていて、この本は“5版でモンスターのデータを操り、魅力的な遭遇を作るにはどうすればよいか”というテクニックが語りつくされた本です。
Lazy GM’s 5e Monster Builder
“Lazy GM”には脅威度別のモンスターの基本的な数値の表が載っていて、それがそのままモンスターのベースとして使えるようになっています。『モンスター・マニュアル』等の本にあるデータ・ブロックと比較すると、すべての情報が載っているわけではなく、かなり圧縮された数字です。
上記の表から、脅威度3のモンスターの数値を1行で表現したフォーマットを見てみましょう。
- CR 3, AC/DC 13, HP 65 (49-81), APB +5, DPR 23, Attacks 2x 12 (2d8 + 3)
項目がカンマ区切りになっていますが、各項目の意味は次の通りです。
- CR: 脅威度。
- AC/DC: アーマー・クラスと、そのモンスターが行う攻撃のセーヴ難易度。Forge of Foes の計算式ではこの2つは同じ数値を使うことになっています(私はアーマー・クラスだけ個別に決めることが多いです。理由は後述します)。
- HP: ヒット・ポイント。最初の数字が平均値で、かっこの中の2つの数字がそれぞれ最大値・最小値です。
- APB: Augmented Proficiency Bonus (修正習熟ボーナス)となっていて、意味は“そのモンスターの脅威度から算出した習熟ボーナスに、モンスターの最も得意な能力修正値として妥当な数値を加えたもの”です。この数値はそのまま攻撃ロールの修正値として使ったり、あるいは習熟している技能での判定に使ったりします。
- DPR: Damage per Round, 1ラウンドあたりに与えるダメージの総量。この数値を攻撃回数で割って1回ごとの攻撃アクションのダメージを出したり、範囲攻撃のダメージに妥当な数値を計算するときに基準に使ったりします。
- Attacks: 複数回攻撃 を加味したモンスターの基本の攻撃アクション。戦闘の数字が攻撃回数で、2番目の数字が固定ダメージ(平均値)、最後の式がダメージ・ロールです。
Shadowdark RPG の能力値表記
Shadowdark RPG ではモンスターの能力値は能力修正値だけを書き、能力値名も頭文字だけに省略しています。
- S +3, D +2, C +2, I +2, W +2, Ch +3
Forge of Foes の書式ではAPB(能力修正値を織り込み済みの“最も得意な”ボーナス)があるので個々の能力値・能力修正値がなくても構わないのですが、私は能力値が書かれているほうがそのモンスターの造形をイメージしやすいので、補足するようにしています。
私の使い方
最初に掲載したモンスターのデータ・ブロックのうち、基本の数値に当たる部分はこんな感じになっていました。
- CR 3, AC 14, DC 13, HP 71 (49-81), APB +5 (PB +2), DPR 23
- S +3, D +2, C +2, I +2, W +2, Ch +3
- 以下、特徴 や アクション の記載が続く……
私はいろいろと試してみて Forge of Foes の書式からも少し変えて、ふわっと以下のようなガイドラインのもとで書くようにしています。
- アーマー・クラスは独立した項目に書く。モンスターのACは脅威度に比例して計算できるものではない(らしい)こと、そのモンスターが何から防御を得ているのかをイメージしたいので、分けて書いています。
- 本来の習熟ボーナスを書く。APBのほかに習熟ボーナスも書いておくことで「関連する能力値は高くなさそうだけど、このモンスターはこの行動には習熟していそうだな」みたいに、モンスターの得意・不得意についてちょっとだけ柔軟に判断できるようになります(実際、そこまで即興で判定のボーナスを考えたことがあまりないですが……)。
- マークダウンの箇条書きリストは1段階目まで。特徴、アクション、ボーナス・アクション……といった感じにグループ分けしてもいいのですが、試しにフラットなリストとして書いてみてもあまり不都合を感じないのでそのままにしています。
今回示した例には出てきませんでしたが、出典のページ番号を書くのもよさそうですね。
モンスターのカスタマイズが楽になる
Forge of Foes と『モンスター・マニュアル』のような網羅的なデータ本を組み合わせると「こんなモンスターがいたら楽しそうだなあ」というアイデアを具体的なデータ・ブロックに落とし込む過程が楽しくなり、労力もぐっと少なくなります。
軽いデータ・ブロックの書式はセッションの準備メモに埋め込むこともでき、短いアドベンチャーを配布するときに役立つかもしれません。今後は、この書式をどうやってPDFなどの印刷物にうまく調和させるかを考えてみたいですね。
ライセンス表記
This work includes material taken from the Lazy GM’s 5e Monster Builder Resource Document written by Teos Abadía of Alphastream.org, Scott Fitzgerald Gray of Insaneangel.com, and Michael E. Shea of SlyFlourish.com, available under a Creative Commons Attribution 4.0 International License.